北アルプス:剣岳、立山連峰

日程 2009/11/21(土)〜23(月)
山域 北アルプス:剣岳、立山連峰
ジャンル 雪山縦走
メンバー K君、Ita
コース 11/21(土) 室堂(15:00) 〜 雷鳥沢(16:00)
11/22(日) 雷鳥沢(6:30) 〜 剣御前小屋(9:20〜10:55) 〜 雷鳥沢(12:00)
11/23(月) 雷鳥沢(6:20) 〜 室堂(7:50) 〜 一ノ越(9:10〜9:30) 〜 室堂(10:10)

記録

10月のある日、11月後半に3連休があると気付く。

今年の縦走シリーズ最終章をやろう。 3日で行けて最後を飾るのにふさわしい山。

「剣岳」。

それに立山連峰を加えてループにすれば最高!

初秋のアイゼントレに加え、八ヶ岳単独縦走で 雪山で生き抜く技術・体力・メンタルを養う。

そんなある日、 同じ会のK君に計画を話すと 「それ行きたいんすけど。」と返ってくる。 よしっ、一緒に行こかっ!


計画はこんな感じ。

11月21日に立山からアルペンルートで室堂に入り、 剣沢にベースを設置。

22日に剣岳をピストンし剣沢に帰投。

23日は別山尾根から立山連峰を縦走し室堂へ下山。

ただしK君は雪山未経験。 大幅な計画縮小も必要かもしれない。

11月20日

22:30

K君が車で迎えに来てくれる。 名古屋インターで高速に乗り立山へ。 4時間ほどで立山の駐車場着。 翌朝のアルペンルート始発まで車の中で仮眠を取る。

11月21日

6:00

K君に起こされて起床。 外は弱くはない雨。 サクっと準備を済ませてロープウェイ駅へ。 駅の中はスキーヤーで満員。

室堂までのチケットを買う。 しばらく時間があるため食堂でコーヒーを飲みながら待つ。 構内放送によると美女平から上は雪らしい。 ビーコンで遊んだりしながら待ってると再び放送。 美女平からのバスが除雪待ちで遅れているとのこと。 まあ仕方ない。もうちょい待つか。

かる〜く居眠りをしているとまた放送。

「本日のバスは雪のため終日運休とします。」

・・・えっ??


「ピッ。」 大脳が再起動する。

えーと、バスが運休? 状況を整理中・・・。

(この間0.5秒)

「まさかの立山敗退かいっ!」


Be COOL. こんなときこそクールに考えよう。

アルペンルートは立山から室堂までつながっている。 室堂は扇沢からもいけるな。 黒部側に雪で止まるようなものは無い。

ということは。

K君と相談して扇沢に行くことにする。


立山から高速に乗り、北陸道で集中豪雨に降られ、 糸魚川から国道を扇沢へ。 大町あたりは雪。

3時間かけて扇沢に到着。 トロリーバスに飛び乗る。

黒四ダムは雪景色。

次はケーブルカー乗り、 そして黒部平でロープウェイに乗換。

窓の外は吹雪。

大観峰からはまたまたトロリーバス。

ようやく室堂着。 すでに15時。

雪の中とりあえず雷鳥沢へ向かう。 が、降ったばかりの新雪でスネまで埋まる。 借り物のスノーシュー(K君はワカン)を装着。

雷鳥沢付近は山スキーヤーだらけ。 よく見ると女子率が異常に高い。 85Lザック担いで尾根を歩いてる場合じゃないな。 沢屋だし今シーズンは山スキーにするか。

眼下にテント群が見える。 約50張。 早くテン場を確保せねば。 雷鳥沢を駆け下りて近道をする。

ふと振り返るとK君がいない。 よく見るとはるか後方に雪とたわむれている(もがいている?)人影が。 これがスノーシューとワカンの違いか。

16:00 雷鳥沢

今日はここで限界。 テントを張り、 水を作って夕飯の準備をする。 そしてK君のキムチ鍋をおいしくいただく。

19:00

テントの外に出ると・・・、 雪は止み一面の星空。 言葉では言い表せない美しさ。 明日は剣沢にベースを移して剣岳を目指す。 雪山にしては長い行程。 そんな不安も星空を見て一気に吹き飛ぶ。 がんばろう。

テントに戻り翌日の行程を二人で確認しシュラフに入る。

11月22日

4:30

K君に起こされて目覚める。 さむっ。 シュラフカバーの内側で結露が凍ってる。 夜も足先が冷えて痛かったなぁ。

朝食はぜんざい。 朝から甘いものは・・・ぜんぜんアリ。 体もあったまる。

6:30

テントを撤収しまずは剣御前小屋を目指す。 スノーシュー(K君はワカン)をはいて出発。 先行パーティーは2組。 トレースはあるものの雪は深い。 ワカンのK君はいきなり苦戦。 ゆっくりペースで高度を上げる。 後ろには学生5人組。なかなか早い。 出発から30分ほどで学生パーティーに追いつかれる。 一本いれつつ抜いてもらう。

雪山初体験のK君は一言 「つらいっすね。」 この先まだまだつらくなるよん。

学生の後について省エネモードで登る。 しばらくすると先頭が先行のトレースを外してもがいている。 「ラッセル替わるわ。」とトップに立つ。 10分ほどラッセルを続け先行のトレースに復帰。 平坦なところでみんな休憩。 それにしてもスノーシュー楽だな。

朝日が昇り天気は快晴。 雪をかぶった山々が遠くまで望める。 K君がなにやらでかい山を差して

「あの山なんて山っすか?」

と聞いてくる。

「よくわからんけど、でかくて 横がシュとしてかっちょいい形の山だな。」

「・・・。」

すまんな。 山の形見てわかるのは「富士山」と「槍ヶ岳」ぐらいなんだ。 (後日、「奥大日岳」らしいこと判明)


再び出発。 途中で先行パーティーを抜いて、 トレースがなくなる。 ラッセルしながら高度を上げる。 表面はクラストしているけど、 その下はふっかふか。

「ブレイカブルクラスト」。

こんなときは絶対スキーだ。 歩いている意味がわからん。

後ろを見るとまたK君が雪にはまっている。 なれない雪で両足がつったらしい。

後続パーティーにラッセルを代わってもらい、 しばらく休む。 剣御前小屋はあと200m。 ゆっくりペースで小屋まで歩く。

尾根に上がると風が強い。 地吹雪で視界もあまり効かない。

9:20

予定時間より大幅に遅れて剣御前小屋に到着。 小屋の影に入り風をよける。

ここから剣沢に下りベースを作る。 風で磨かれて硬くクラストした斜面。 アイゼンに履き替えなくては。

K君のアイゼン歩行を見るために、 小屋の周りを歩いてもらう。 前爪でたちこむとK君のアイゼンが外れる。 リンクバーがアジャスト機構から抜けている。 アイゼンを直してふたたび歩いてもらう。 またもや同じところが抜ける。 どうやら相性が悪いらしい。

体力・技術に不安を感じていたし申し訳ないけど中止しよう。

「この先はムリだ。この辺で遊んで雷鳥沢に引き返そう。」

するとK君

「雷鳥沢に戻ってから遊びませんか?」

・・・そうきたか。


遠く見える剣岳にリベンジを誓う。

10:55

さっきまで必死でラッセルしてきたルートをかけおりる。 眼下にはスキーを楽しむ人々。 ひさびさの敗退。 無事下山だしまあいいか。

12:00

雷鳥沢に戻りテントを張る。 少し休憩してから、自主訓練でもするかといいつつも結局ゴロゴロと過ごす。

雪山での用の足し方などについて真剣に語り合い、 K君持参のモツ鍋を食べながら、剣岳へのリベンジ方法を考える。

立山・剣岳縦走。

どうせなら三俣蓮華岳あたりから歩くか。 それなら燕岳から。 「夏山シーズン中房温泉〜欅平7泊8日」なんていうアホな計画を思いついてそのまま就寝。

11月23日

5:20

やはりK君に起こされて目覚める。

そしてすぐにトイレに行く。

ヘッデンの明かりをたよりにトイレに着くと 恐ろしい長さの行列が。 ここには男女兼用のトイレがひとつしかない。

とりあえず並ぶ。

・・・・・・・・。

寒い。とにかく寒い。

「このままでは死ぬ。」

起きてすぐに出てきたから、 ロクなものを着てない。 周りの人も明らかに薄着。 一人、また一人と脱落していく。 おかげで行列は短くなり、 無事に用足し完了。

逃げるようにテントに戻り、 朝食のラーメンをすする。

今日は室堂まで戻って、 余裕があったら空身で雄山に行くか。 パッキングをすませてテントをサクッと撤収する。

6:20

スノーシューをとワカンをK君と交換し室堂へ出発。 8ヶ月ぶりのワカンもなかなか快適だな。 なにより軽くていい。

ほとんど圧雪のトレイルを室堂へ歩く。

7:50

室堂駅到着。 まだ時間も早い。荷物をデポして雄山へ向かう。

K君が

「あのピークが雄山ですよね。その隣はなんすか?」

と聞いてくる。

雄山の左側にある少し平らなピーク。 うーん・・・。

「あんまりかっこよくないな。」

ほんとにすまん。

ワカンだとあまりペースが上がらんな。 でも後ろからK君が追い上げてくる。 仕方なくペースアップ。 山スキーヤーを抜かしつつ登る。

9:10

一の越乗越到着 稜線に出たとたん強風。

この先は岩と雪のミックス帯。 アイゼンだな。

K君に

「アイゼンに履き替えていらないものはデポしよう。」

と言うとなにやら浮かない顔をしている。

???

「アイゼン調子わるいっす。」とK君。

そうだった! そのことをすっかり忘れてた。


ここで引き返すことにする。

つらい登りも帰りは下り。 新雪の斜面をまっすぐ駆け下りる。

10:10

さくさく歩いてあっという間に室堂着

文明の香りを感じると、下界が恋しくなる。 さっそくアルペンルートに乗り込み下山。

なにやらいろんな乗り物を乗り継いで扇沢に下る。

たいして歩いてないけど内容の濃い山行だったな。

そしてK君の運転で家路に着く。


帰りの車の中で、

「あれってなんて山っすか?」とK君。

・・・。

「なんかギザギザしてるし乗鞍? 方角的にそんなわけ無いな。八ヶ岳?」

はぁ・・・。

Writen by Ita

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